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どんな刃物が好きですか
包丁ですか
包丁はちょっと大きすぎる
ナイフですか
ナイフは手に入れるのが大変だ
カッターですか
僕と同じですね
あのカチリという音が
現実的
あの手ごろなサイズが
いい感じ
ねぇ こっち向いて
君にカッターを向けてみる
ビクリと身を縮める君が
かわいい
恐れに満たされていく瞳が
綺麗だ
もっと もっと
怖がって
恐れた顔をして
対抗してもいいよ
そのかわり
お仕置が舞っているから
困った顔が好き
怖がる顔が好き
殺しちゃうかもね
わかっているさ
でも
僕の右手は自然と
君の袖を引っ張ってしまう
「イカナイデ」
君を見つめたまま
そう叫ぶのは僕のココロ
君には
袖を引っ張って君を見つめるだけの僕が
見えるだろう?
「いや、なんでもないよ」
そう笑顔で言う僕は
慌てて君の袖を離すだろう
そのとき僕は
頬に涙が伝わってないことを切に願うんだ
君が笑顔で立ち去るのを
笑顔で送りたいと切に思うんだ
忙しい新学期のつかの間の休息
ぐちゃぐちゃだった過去を
整理することにした
ポツリ ポツリと降りだした雨に身を任せ
私の記憶を呼び覚ます
悔やんでも悔やみきれない失敗とか
あの時言われて傷ついた一言とか
ただただ幸せな風景とか
みんなの笑顔とか
たくさん出てくるはず
鮮明に出てくるはず
そんなあいだも雨は降り続いて
日本の汚れた大気を洗い流す
やっと取り出した記憶
痛くもなく
幸せもなく
ふわふわとした記憶
あの日の鮮明な痛みとか幸福は
どこへ行ってしまったんだろう
あの日の失敗は心が抉られたはず
あの日の幸せはもっと眩しかったはず
もっと真っ直ぐで濃い現実があったはず
それを肌で体験して
悩んで 満たされて 大切にしまっておいたはず
なのに
小学生は図画工作の水彩作品を
慌ててランドセルへ押し込む
今ある記憶は
風化してると感じた
忙しさに紛れて
忘れてしまったんだと
時間がお節介してくれたと
仕舞いそびれた水彩作品は道路に打ち捨てられている
小学生らしい その眩しい色使いは
雨に解けて混ざり 優しく柔らかなものになっていた
どこかホッとしたような気持ち
刺激物は苦手なの
突如寂しさがこみ上げる
あの日流した大粒の涙が
水彩絵の具の記憶を溶かしてしまったんだろう
私は誰かに
―神に
―地球の創造者に
―色々な人が信じている偉いものに
生かされているようだ
「生かされていることに感謝しよう。」
私の目の前で先生が言う
あたかも当然のように
何故…?
何故感謝しなければいけないんだ?
たとえ“生かされていること”が
自分の希望ではなくても
感謝しなければならないのだろうか
遠まわしに無言で
“生きなければいけない”
と言われているようだ
そんな強制を
私は許したくはない
行きたい人間が生き 死にたい人間が死ぬのは
自然なことではないのだろうか
いずれ人間は死んでしまうんだ
自分の最期を
人には決められたくない